わたしは小柄な方であるが、隣に並べられている席はみんなと同じ。もちろん、わたしもみんなと同じ。みんなと同じ椅子に足がつかないだけ。

転校生は男の子だと昨日担任の河口先生から話されてはいたが、その人はどのくらいの大きさなのだろうか。

わたしがすっぽり陰に隠れられるほどの大きさだといいなとか思ったりした。

他の男の子を見ようとしても視線が怖くて、周りにいる男子などあまり見ることができない。

成長期が終わって男子はみんな大きかった気がするけれど、時々わたしがこのクラスで話す唯一の存在の委員長の男の子は身長が圧倒的に高かった気がする。

名前は覚えていないが、頭がよさそうで、クラスの委員長だからか積極的な男の子だ。

わたしと仲良くしようとしてくれていた他のクラスの女の子とよく似合いそうな感じだ。

隣に並べられている転校生の机をみながらそんなことを考えていると、思ったよりも時間が過ぎてしまっていた。

わたしは手に持ちっぱなしの小説を開き、そっちに視線を移す。

わたしの心には普段音が響くことがないからか、小説を読んでいると息苦しく感じる場所や時間を忘れてしまう。

そんなわたしだけの世界のような中で、今までに聞いたことのない足音がわたしの心にそっと響いてくるのがわかる。