彼の姿を見たとき、雰囲気からしてこの人はわたしより真面目で明るくて人気の出そうな人かもしれないと感じた。

つまり、わたしが最も関わりたくないタイプ。

わたしが密かに今日つけていたヘアピンを外して彼の視界に入らないようにすると、クラス担任の河口先生がわたしの予想通りわたしのとなりの席を指さす。

彼が隣に来てしまえば、わたしの地味さが目立ってしまう。

わたしの怖い時間がゆっくり流れているように感じられた。

「よろしくね?」

――アナタの笑顔が眩しすぎますよ.....。

できれば、話しかけないで...。

そんな思いで授業で使うノートを1枚破り、その思いをシャープペンで書く。

となりの彼がわたしの取った行動に笑っていることがみなくてもわかる。

多分、笑ってますよね?私の行動変ですよね?

だけど、これがわたしの精一杯なんだ。

字は汚い方だけれど、見せるのも恥ずかしいくらいだけれど彼へ意思を伝えるためにはこうするしかないんだ。

彼がわたしの隣にいるだけで声を出すことはもちろん、字を書くことも段々とできなくなくなっていく。