私より20センチ近く高い背をやんわりと屈めて、顔を覗き込まれる。
本当に熱が出てしまうのではないか、と思うくらい顔に熱が集まって、くらくらくらくらしてしまう。
先輩は確信犯なのだろうか。
それならよほど、タチが悪いとみえる。
先輩に覗き込まれてしまったら、たいていの女の子は私みたいになるに決まっているのだから。
「大丈夫?宮原さん、顔真っ赤…」
「だ、だいじょぶ、です。こんにちは、先輩」
ぐりん、と首を回してそっぽを向いて。
「そ、大丈夫ならいいんだ。ふふふ、こんにちは、だね。図書館の外でこうして会うの、実は初めてだって気づいてる?」
「…誘ってくれたの…先輩ですよ」
先輩が楽しそうにいう。
からかわれているのかも。
もしくは妹のように思ってくれているのか。
初めてがお祭りデートだなんて、もう心臓が止まってしまいそうだ。
この後先輩と屋台を回ったりするなんて、想像以上に負荷がかかる。
ずっと、どきどきしていなきゃいけないもの。

