声が震える。
だから!
平常心。平常心。
「あー」
よし、声は出る。
「み、…見る?」
スッと英語の教科書を
俺と三咲の間に滑らせた。
「いいの?ありがとー。助かるー」
返ってきた三咲の笑顔と
甘い声に不意に頬が緩んだ。
三咲…好き過ぎるっ!
机の下で固く拳を握って
襲ってくる萌えに耐えた。
1ヵ月間約束された俺と三咲の距離。
やっぱ見てるだけはいやだ。
この笑顔を俺だけのものにしたい。
誰のものでもない三咲を
俺だけのものにしたい。
あんなことやこんなことを
三咲としたい。
脳内で乱れる三咲が
俺の独占欲をかきたてて、
地味な片思いから
一歩進む決意が固まって行った。
