ウィィンという静かなエアコンの音と、カーテンの隙間から差す日の光で目を覚ました。
清々しいと言えば清々しい朝だ。
寝室からリビングに向かうが、当然誰もいない。そう、この歳でまさかの一人暮らしなのだから。まぁ、金の仕送りはかなり来るから生活には困らんが。

学校の準備をして、着替えて顔を洗い、歯を磨いて時間を確認してると、チャイムがピンポーンと鳴った。
玄関の扉を開ければ、いつも通り倉科大地が迎えに来ていた。
「中に入っていーぞー」
「ばーか。そんな時間ねぇわ!」
「はいはい、じゃあ行きましょうかね」
口をゆすぎ、カバンを持って大地と学校へと向かった。

学校に着き、教室に向かい自分の席に着くと、飛びかかってくるように机にやってきた女の子がいた。
「ねぇねぇ!もーすぐだね!!」
「馬鹿!声が大きいんだよ!まだみんなにも言ってねぇんだからな?」
こいつの名前は佐々木由香里。幼なじみの女の子。顔もスタイルもいいんだが、性格はおてんばみたいなもん。そして、でかい問題を抱えた、美少女だ。

「ごめんてー。そ〜だったね!でもやるのはもうすぐでしょ?」
「あぁ。大地とも話してな。決行日は来週末にした」
「結構早いのね。それまで仲間集めなきゃ。」
そう。俺達は今、あることを企んでいる。これからの人生に関わるであろうあることを。
「やるからにはやる。徹底的にだ。」
「よく言った息吹。俺もそのつもりだぞ」
大地は本当によく付いてきてくれて、支えてくれる。一番頼れる仲間だ。

「でも、仲間ってどう集めるの?」
「あぁいい質問だ。それに関してなんだが、やっぱり今回こうやって俺達から始める以上、他学年は巻き込めない。そして、同じ学年の奴らも強制することは出来ない。だから、この学年のヤツらの中で話をして、有志で集めようと思う。」
「ある意味博打だな。」
「その通り。誰もいなければ俺ら3人になるだろうな」

ここが今の一番の難所と考えていいだろう。こんな馬鹿げたことをやりたいなんて言うやつ、そうそういないだろうからな。

大人達と戦争しようだなんて。