あの日から、ずっと……

 泰知の家の前に泰知の車が停まっていた。

 そうか、今日から一週間アメリカへ出張って言ってたな……


 近づくなって言われなくても、近づけない…… 寂しいよ……



 次の日から、制服の女子社員達が挨拶をしてくれなくなった。

 これも、立花さんの仕業なのだろう……


「おはよう!」

 浅井先輩に背中を押され、私は嬉しくて涙が出そうになった。

 良かった。浅井先輩は変わらない……


「なにかあったの?」

 浅井先輩が心配そうな顔をするが……


「いいえ!」


 私は笑顔で首を振った。浅井先輩がいてくれて良かったと心からそう思った。

 一週間が経ち、泰知がアメリカから帰ってきた……



 機材部へ向かう為、廊下を歩いていると、こっちへ向かってくる泰知の姿があった。


 私は慌てて、廊下を曲がり仕方なく出荷部のドアを開けて隠れた。


 出荷部は配送の準備に慌ただしく、私が入った事にも気付かないと思ったのだが……


「どうしたの? 宇佐美さん」

 出荷部の井口の声に驚いて飛び上がった。



「あっ。ちょっと間違えちゃって……」

「どこに行こうと思ったの?」

 私は、廊下の泰知が通り過ぎて行く姿を確認すると……

「大丈夫です!」

 慌てて廊下へ飛び出た。


「おい!」

 呼び止めた井口さんの怪訝そうな視線を背中に感じたが、振り向かず走ってその場を逃げる事にした。