あの日から、ずっと……

 機材部にシアトル工場からの確認に行くと、課長が不在で保科さんと言う、優しそうだが、少し気の弱さを感じる女性が対応してくれた。


 なんだか、私の手渡した書類を見て、切なそうな目で肯いた。



 数日後……
 
 海外事業部のドアが激しく開き、機材部の課長の城田が飛び込んできた。


「おい! シアトルの工場への発注の変更が出来て無いんだが、どうなってる?」


「えっ」

 上原主任の顔が強張った。


「宇佐美、どうなってる?」


 私は慌てて、先日送ったメールの確認と、その時の発注の書類を出した。


「これは、誰の許可を得た?」

 課長の不穏な声が出た。


「機材部の、保科さんです……」


「嫌、保科は知らないって言ってるぞ」


「えっ…… そ、そんな……」


「とにかく、シアトルの工場に状況を確認して、発注がいつ頃になるか確認しろ!」

「はい!」

 私は慌てて電話を取った。


 シアトルに確認すると、工場長とは何度かやりとりがあり、陽気な彼は、大笑いしながら引き受けてくれた。
 私は、工場長に何度もお礼を言った。


 私の目からは、涙がポロポロ落ちてしまった。


 影で見ていた女子社員達の「ほらね、やると思った」と言う声が胸に突き刺さった。


 課長はほっとしたようで、大きなため息を着くと……


「しかし、宇佐美さんの英語は凄いな…… 何を言ったかしらんが、こっちにまで誠意が伝わったよ」


「すみません……」
 私は頭を下げた。


「まあ、とにかく、原因は解らんが、機材部に関しては、最終の確認を僕に得てからにしてもらえるかな?」

「はい。分かりました……」


 城田課長は、私の肩をポンと叩き事業部を出て行った。