そんなことを考え続けて悶々としていた私に
彼は言うのだ。出掛けるよ、と。



海外に行く旅費は馬鹿にならない。
一体遊び歩くお金がどこから出てくるのか。
彼だって社会人になってまだ2、3年しか経っていないというのに。

遊び歩けるほど稼いでいるのか、
そんなことを次第に考えるようになっていたのも事実。


それなのに、私はまだ彼に追いついていないという現実を見て
こんなことをしている暇はないのだと自分に言い





だけどそれでも、
彼が美しい景色を見せるその瞬間
シャッターを切る瞬間
目が緩く細まるその瞬間だけは
酷く心が休まった。