鮮やかなまでの橙が私に向き合っていた。
This world is so much beautiful.
嗚咽交じりで呟く。
あのとき彼が呟いた言葉を追うように。
きっと、声に色があったら、ここに彼がいてその言葉を追ったなら
そうしたらそっと寄り添って綺麗な色になるのに。
私はこんなにも美しい世界の端っこで、まだ生きていて、
これからも生きていく。
夜明け前が一番深い闇であったとしても
朝の光がどんなに私の胸を痛くしても。
This world is so much beautiful.
この世界はこんなにも美しいのだと
彼の声が、聴こえた気がした。
fin.

