これが涙の最高落下速度かと思うほどの速さで
木目の床に吸い込まれる水滴は、もう止まらなかった。
彼は知っていたのだ。
仕事でうまくいかない私が下を向きがちでいたことを。
世界はこんなにも美しい。
自分の体調がどのくらいもって、いつこの世界から消えるのかを。
世界はこんなにも美しい。
こんなにも美しいのに。
あなたがいなくなってもこの世界の美しさは変わらないのだ。
なんて残酷で、なんて美しいんだろう。
どうしてこんなに美しい世界に1人でいなくてはいけないの。
世界はこんなにも美しい。
だから前を向いて歩きなさいと、そう言いたかったのだと
自分はいつかいなくなるけれど、世界の美しさは不変のもので、
だから君は前を見てと
出掛けるよと、そう言ったのね。

