バスのエンジン音。
高速道路。
周りのお客さんの寝息。
少し煩い鼾。
身動ぎする度に擦れ合う薄い毛布の音。
3時。
時計の針。
眠れない私。
病院の白いサナトリウムにいるだろう彼。



そっと車体のカーテンを開けて、天空を仰ぎ見る。
暗い、暗い闇。
夜の闇は孤独を包むと私は思って、
ずっとそう思って。
夜だけは私の味方だと感じていた。
3時。
夜明け前。
広がる闇は濃紺をもっとずっと凝縮したような深い青。
次第に白む。