動物たちが逆光で黒い影となって動いている。
サバンナの大きな木と、どこまでも続く広々とした草原。
この世界のどこまでも草が続いているのではないか、そう思った。
普段暮らしている日本の、東京の、喧騒の街並みはきっとうそで
世界にはこんな草原が広がっていて
そこにはきっと私と彼の2人しかいないの。
けれどそれで十分だと思った。
夕日が、あんなにも大きな橙が、草原のずっと向こうの果てしなく広い地平線へと落ちていく。
ゆらゆらと燃えて、ゆっくりとゆっくりと。
壮大な自然を前にして、人間はあまりにも無力だと言った人がいた。
よくわかる。確かにそうだと感じる。
けれどこれは無力とは違う気がした。
私は知らなかった。
知らなかったのだ。
This world is so much beautiful.
呟く吐息とともに、それに混じるかすかな音。
私と彼が出会ったのは英会話の語学クラスだった。
滑らかでいて濁りのないような彼の発音。
その唇から漏れ出す言葉。
落ちる夕日。
世界はこんなにも美しい
彼はそう言った。
確かに、そう言った。

