たとえこの身が焼かれてもお前を愛す

「どちらまで行かれますか?」

優しい笑顔を向けてくる。


「あの、シュバルツリーリエのベーゼンドルフ団長の所です」


「やっぱり」彼は意外な言葉を口にした。


「えっ?」怪訝な顔をする。


「その服に見覚えがあるんですよ。エルンスト団長の館にうかがったときにね」



「それに....」彼はフィーアの顔をまじまじとのぞき込む。


「いつぞや、皇帝陛下の御前で酔っ払い相手に派手な立ち回りをしたのも、あなたですよね?」


グレーの大きな瞳でフィーアは彼を凝視してしまった。

心臓が止まりそうだった。

シュバルツリーリエの騎士は特に優秀だと聞いているが、あの騒ぎの中で私の顔を憶えていたと言うの?

フィーアは無意識にスカートの裾を握っていた。


彼はその様子を見てニッコリと笑うと、”それ以上は聞きませんよ”とばかりに、

「では、私がご案内しましょう。フロイライン(お嬢さん)」

そう言って歩きだした。