たとえこの身が焼かれてもお前を愛す

「平気か?」

ゆっくりとフィーアはエルンストの胸から顔を起こした。


「は...い。少しビックリしました」


「こいつは今日も一度驚いているから、余計に興奮したんだな」

そう言って馬から降りると、フィーアにも降りるようにと両手を差し出してきた。


「一人で降りられます」

「いいから来い」


フィーアの目の前で「ほらっ」とばかりに両手を広げる。

「は、はい」意を決してエルンストの胸に飛び込む。


ふわっ。

服の下のパニエが風に舞う。

フィーアの体が宙を飛ぶと、すぐにエルンストの広い胸の中におさまった。

えっ?

一瞬自分を抱きとめたエルンストの腕に力がこもった気がした。


「あ、ありがとうございます」フィーアはドキドキした胸を押さえながら、うつむいて頭をコクっと下げる。


「ああ」エルンストは短く答えただけだった。