たとえこの身が焼かれてもお前を愛す

せっかくハンスにあげようと思ったのに、ギードのお守りダメになっちゃった。

バラをこのまま捨てるのは可愛そう。

このバラだって人に喜んでもらうために咲いたんだもの。



ふいに空を見上げると、太陽がだいぶ傾いて西日がその瞳を刺す。


「大変、ハンスに怒られちゃう」


酔っ払いとの喧嘩は案外時間を食っていたらしい。フィーアは屋敷に向かって足を早めた。





────湖にさしかかった時だった。


行きがけにつぼみを閉じていた宵待ち草が見事に咲き乱れ、あたりは黄色い絨毯と化していた。


「綺麗....」


思わず足を止めて見とれるフィーア。

黄金色の西日の光が一面に注がれ、その美しさをいっそう引き立たせている。