たとえこの身が焼かれてもお前を愛す

声の主は馬からヒラリとマントをひるがえし地面に降り立つと、素早い動作で酔っ払いの男を後ろ手に拘束した。


「ここはわが皇帝ゲオルグ三世陛下のおひざ元と知っての行為であろうな?」


ギリギリと男の腕を締め上げる。


「痛てえっ。助けてくれっ」情けない声をあげる男。


「ファーレンハイトっ、この男を牢にぶち込んでおけっ!!」


「はっ」


ファーレンハイトと呼ばれた美丈夫な青年将校は縄で男を縛り上げる。


一連の素早いエルンストの動作にフィーアはあっけに取られると共に、
女の自分ではああは出来ない。と感心しつつ、胸がトクンと鳴った。エルンストを男らしいと思った。


一部終始を白馬の上から見ていた人物から「済んだか?」声がかかる。

重く威厳のある声だ。


なんとそこにはカールリンゲン皇帝ゲオルグの姿があった。

「「へ、陛下っ?!!」」


あたりにいた野次馬たちは慌てて地面にひれ伏す。

もちろんフィーアも。