たとえこの身が焼かれてもお前を愛す

遠巻きに見ていた見物人の一人が止めに入るが、剣を抜いた二人は酔っているせいもあり、かえって興奮してしまった。


「どっからでも掛かってきやがれっ!!」


「おりゃー」剣を振りかぶる。


”カン、カキン”金属のぶつかり合う音。


どちらも酔っぱらっているせいで、足元がおぼつかない。


赤い顔をした男が剣をかわされ、フラフラとした足取りでフィーアに向かって来る。

トロンとしたその瞳は戦う相手を間違えているようだ。


うつろな目で「こいつぅ....」剣を振り下ろそうになる。


とっさにフィーアは隣で喧嘩を見ていた男の腰から剣を抜くと、


”カーン”勢いよく払ってみせた。


「な、何だ?」剣を払われた男はぼう然と立ち尽くしたが、すぐにその場にひざから崩れると、何事もなかったようにグーグーといびきをかいて寝てしまった。


「ふう」フィーアはため息をつく。

驚いた様子の隣の男に剣を返そうとた矢先。