当然のように鬼の形相で商人の男が飛んでくる。


「おら、こんなところで寝てんじゃねえぞっ!!」


ムチは容赦なく倒れた奴隷たちの体を打ちつける。


「さっさと起きやがれっ!!」


「うっ」ムチに打たれて最初に倒れた奴隷女が苦悶の声をあげる。



「何だよ文句あんのかっ!!
お前のせいで、また遅れちまったじゃねーかっ!!」


奴隷市場を目の前にして、苛立ちを隠せない男は更にムチを振り上げた。


”ビシっ、ビシっ”音をたてて女に振り下ろされる。


女の汚れた肌が切れ、赤い血が背中から流れてくる。

女の背中の丁度左肩あたりには奴隷の焼印が押されていた。

奴隷の焼印は人間の目を意匠化されたデザインで、

『お前らは常に人の目にさらされている』との意味があるらしい。



「ほら、早く立ちやがれっ!!」

ムチは背中だけでなく、頭を腕を容赦なく叩いた。