たとえこの身が焼かれてもお前を愛す

「気が狂ったのかエルンスト?!お前のような優秀な人材を世は重用してきたではないか」


「陛下はその優秀な人材の命をことごとく奪ってまいりましたね。側室の甘言ごときで」


エルンストはゆっくりとゲオルグに歩を進める。



「か、考え直せエルンストっ!!」

皇帝の威厳をかなぐり捨てたゲオルグの姿はいかにも情けなくエルンストに映った。


「民の不満、貴族の不満。もう遅すぎます陛下」


「これは世に対する反逆だぞっ。お前は帝位を狙う簒奪者として一生その汚名をかぶらねばならんのだぞっ!」


エルンストは微笑んだ。


「陛下。私は己の愛する女のために喜んで簒奪者になりましょう」


そして躊躇することなくゲオルグの胸に剣を突き立てた。

フィーアの為、民の為。この身が滅びようとも。

エルンストは渾身の力を剣に込めた。


.......


即死だった。

声をあげることなくゲオルグはその場に倒れこんだ。


その場にいた者すべてが時を失ったように静まり返った。


エルンストはたった今ゲオルグの命を絶った剣を無意識にその手から離した。

”カラーン”剣が床に落ちた音で時が存在することを皆が認識させられる。



「はぁ、はぁ」エルンストは肩で息をする。


「エルンスト様....何故ですか?」フィーアの瞳には、こぼれ落ちそうなほど涙が溢れている。


エルンストは改めてフィーアを抱き起す。

「言っただろ。俺の人生をお前にささげると」

弱々しい表情を向けてくるフィーアの唇をふさいだ。



この二人には、なんびとたりとも入る余地はない。

二人を見つめていたファーレンハイトは、そっと部屋を後にした。