たとえこの身が焼かれてもお前を愛す

と、突然、扉をけ破る音がした。


「おお、ファーレンハイトかっ」ゲオルグの表情が明るくなる。

「この女を殺せ。いや捕らえろ。そして城下引き回しの上、公開処刑にしてやる。たっぷり辱めを与えて殺してやる!」


ゲオルグは乱暴にフィーアを床に叩きつけた。

ファーレンハイトと呼ばれた将校は冷たい瞳をゲオルグに向けたまま動かない。

「何をしておるっ!早く捕まえろっ!」忌々しげに命令してくる。


床に叩きつけられたフィーアは「ゲホゲホ」と激しくむせ返っている。


「フィーアっ!!」ファーレンハイトの後ろに隠れていたエルンストがフィーアに駆け寄ると、その細い体を抱き起した。


「フィーア」ただそれだけ言うときつく抱きしめる。

「エルンスト様」力なくフィーアが答える。


「エルンスト?!何故お前がここにいるっ?!」


エルンストはゲオルグの言葉を無視した。

「間にあって良かった。お前に人殺しはさせられぬ。それは騎士の役目だ。
お前の仇は俺が取ってやる。皇帝殺しの罪は俺が引き受けよう。
お前は十分苦しんだ。もう苦しむことはない」


そう言ってフィーアを床の上に静かに横たえると、持っていた剣を鞘からスラリと引き出すとゲオルグと対峙した。