たとえこの身が焼かれてもお前を愛す

「さあこの手を取るがいい」目の前に差し出されたゲオルグの手をパシッと払いのけると、

「私から幸せを奪った、憎っくき男に抱かれるとでもお思いかっ!」


フィーアはサイドボードの上に置かれていたガラスの花瓶を手に取ると、それをなんの躊躇もなく壁に叩きつけた。


”ガッシャーン”派手な音と共に上半分が砕け散る。


ギザギザになった残り下半分を改めて握り直すと、その鋭利な部分をゲオルグに向けた。


「両親の仇。ここでお前の命をもらいましょう」


フィーアの決意は火を見るより明らかだった。

何があってもゲオルグを許すわけにはいかない。

未来を見通せないフィーアではなかったが、自分の取るべき最善の道はこれだと本能が教えてくれている。


皇帝を殺せば当然死罪。だったらこの場でいっそ私もお父様とお母様の元へ。

私のやり残したことは、両親の無念を晴らすこと。


エルンスト様。これでお別れです。

あなたに愛された時間は短かかったけれど、わたくしは至上の幸福を得ました。

女としての悦びを与えてくれたあなたへの想いを胸に、わたくしはカロンの船に乗ります。


フィーアはゲオルグに襲いかかった。