たとえこの身が焼かれてもお前を愛す

「ゾフィー様の元には、皇帝と側室一族に不満を持つ貴族が密に集まっております。それら不満分子を結集すれば.....」

ファーレンハイトは語尾を濁した。


「内戦が起きるな」


「もはや、やむを得ないかと」


エルンストは酒屋の主人の顔を思い出していた。


結局しわ寄せが行くのは平民か.....。


エルンストは空を仰いだ。しかし、今は何よりフィーアの救出が先だ。


陽が落ちたら、地下牢に行くことをファーレンハイトに伝えると彼と別れ、エルンストは目を閉じた。



それから陽が落ちるまでの数時間、エルンストにとっては果てしない時に感じられた。

いつの間にか、あたりが闇に包まれようとしていた。



「どうやら今日は夜会はないらしい」


そっとあたりを伺うと、車寄せに貴族の馬車は止まっていなかった。


宴会の喧騒に紛れてフィーアを連れ出そうと考えていたエルンストだったが、策を変更せざるを得ない。

連れ出した後も問題だった。屋敷には帰れない。このまま二人で隣国に逃亡しても構わないのだが.....。シュタインベルグとは休戦中だしフィーアの祖国フォーゲルザンクには戻れない。となるとキートリッヒあたりが妥当か?馬はその辺につながれているやつを拝借しよう。

腕を組み思案する。