たとえこの身が焼かれてもお前を愛す

────次の日の昼頃、エルンストは馬車の荷台に隠れて城門を無事に通過した。

アンゲラーは門番とも顔なじみで、さほど検閲を受けずに通してもらえたからだ。


「ご武運を」そう告げるアンゲラーと別れると、エルンストは執務室のある衛兵棟近くの茂みでファーレンハイトが通るのをじっと待っていた。



────どれくらの時間が過ぎただろう。


陽が傾き始めていた時だった。

独りでファーレンハイトが歩いてくる。


「ファーレンハイトっ」エルンストは茂みから小声で呼びかける。


足を止めてあたりをきょろきょろとしていたが、「閣下?!」エルンストに気づき茂みに分け入る。


「お屋敷を脱出できたのですね。いったいどうやって?」


「そんな話は後だ。フィーアはどうしている?無事か?」


ファーレンハイトはうなずく。


「今も会って参りました」


エルンストはファーレンハイトの胸ぐらをつかんだ。

「営倉ではないのか?」静かに、だがその声には驚きと怒気が含まれていた。

営倉は衛兵棟の中にある。会って来たと言う事はフィーアは地下牢にいることになる。