たとえこの身が焼かれてもお前を愛す

────その日のうちにフィーアは城の監視塔の地下牢に連れてこられた。

当初、ファーレンハイトは営倉を考えていたのだが、ゲオルグが地下牢に投獄するよう命令してきたのだ。

むろん納得したわけではないが、現状、臣下である以上皇帝の命に従うしかない。


縄で後ろ手にしばれたフィーアは地下へ続く石造りの狭い階段を下りていた。

最後の一段を降りるとじめっとした空気が鼻をつき、ピチャピチャと水が落ちる音がする。

湿った生暖かい空気に覆われてフィーアは蒸せってしまった。


先頭を歩く兵士のたいまつの光に気づいて、牢番が重い腰を上げた。

フィーアはその姿を見て一瞬身震いした。

ファーレンハイトによってフィーアを拘束していた縄が外されると、フィーアは両手で自身を抱きしめる格好をした。


ボロボロのローブを身にまとい、強烈な悪臭を放っているその男は片目が潰れていた。

濁ったもう片方の目でフィーアをじろじろ見てくる。

男の後ろに見える牢からは何やらうめき声が聞こえてくる。

闇にうごめく見えない怪物がいるような気にさえなってくる。


フィーアはゴクリと息を飲んだ。


奴隷の生活よりもひどい。

フィーアは思った。


奴隷はまだ太陽の下で生きられる。

まさにここは生き地獄だ。

獄死する囚人もいると聞いていたが、それは嘘などではなく真実なのだと思った。