たとえこの身が焼かれてもお前を愛す

しまったとばかりゲオルグは気まずい顔をしたが、

「エッシェンバッハを知っておろう」ゴホンと咳払いをした。


エッシェンバッハはフィーアの父の甥、フィーアのいとこにあたる人物でフィーアより四つ年上。エルンストと同じ年だった。


たいして実力もないのに口ばかり達者な男で、フィーアは大嫌いだった。
おまけに自分に恋心を抱いていたようで、隙あらばその純潔を奪おうとしていたのだ。
フィーアはエッシェンバッハの顔を思い出して身震いする。


「あの愚鈍な男にそなたが手に入ると声をかけたら、すぐに世の提案に飛びついてきよった」

エッシェンバッハはフィーアをいつか自分のものにしたいと思っていた。
しかし血族間の婚姻は認められていない。
そこで、フィーアの父親を罪人にしたててフィーアを奴隷にする。
そして奴隷になったフィーアをこっそり買い上げて離宮に囲い愛欲の限りを尽くす。

と言う計画だったのだが、手違いでフィーアはシュタインベルグに入国してしまい消息不明になったのだ。

この計画がうまく行けば、ゲオルグはフィーアをエッシェンバッハから奪うつもりでいた。と付け加えた。

フィーアの心は激しく乱れて、肩で呼吸している。

その瞳は赤く炎を燃やしているように見える。


「世の求婚を断ったそなたが悪いのだ。それ相応の報いを与えただけのことだ」

ゲオルグは罪悪感もなく完全に開き直っている。


フィーアは目の前が真っ暗になった。

求婚を断ったから.....?たったそれだけで?


「皇帝は神聖不可侵。エッシェンバッハは罪に問えても、世には問えぬぞ」


「陛下!!」エルンストは諫めるように叫んだが、もはや皇帝としての資質を疑っていた。



それ相応の報いだとっ?!エルンストは怒りに燃えていた。


こんな人間が君主なのか?

人として最悪ではないか。

こんな奴のためにフィーアは奴隷になったのかっ!

エルンストは激しく憤った。それはファーレンハイトも同じだった。