たとえこの身が焼かれてもお前を愛す

「ところで、お父上は息災かな?」ゲオルグは無意味ともとれる質問をする。

どこまでも嫌な男だ。フィーアは思う。

「風の噂でわたしが奴隷になったと知っているのなら、父がどうなったかもご存知でしょ?」


「はははっ、そうであった。そなたの父は公金横領の罪で宮廷を追われ自害したのだったな」


人の不幸をさも楽しそうに笑うゲオルグに、エルンストもファーレンハイトも嫌悪感を覚えた。

当然フィーアも。


「そなたの父上は優秀な人物であったが、人が良過ぎた」


「父をご存知なの?」フィーアは怪訝そうな顔をする。

フィーアの父親はフォーゲルザンク国王の弟で宰相を務めていた。


「ああ、良く知っておる。バカがつくほどのお人好しで甥の奸計にまんまと陥ちて、身を滅ぼしたこともな。宰相たるもの、権謀術数に長けていなくてはならん」


ゲオルグは調子に乗って少ししゃべり過ぎた。


「奸計っですって?!やはり父は無実の罪で処断されたのだわ。
けれど、どうして陛下がそれを知っているのです?!」


フィーアは身を乗り出してゲオルグに鋭い眼光を向けて問う。