たとえこの身が焼かれてもお前を愛す

「娘、名は何と言う?」

「フィーア・フォン・モーデルにございます陛下」さらに顔を下げる。それはまるで表情を悟られないようにするようだった。


「ほー」ゲオルグは口元を歪めると、立ち上がりフィーアのあごをつかんで強引に上を向かせた。

フィーアは視線をそらしたが、ゲオルグがそれを許さなかった。

あごをつかんだままフィーアに顔を寄せる。


「世はてっきり、フィーア・フォン・フォーゲルザンクだと思っていたがな」



その場にいた全員がゲオルグの言葉に驚き、色を失った。そして張り詰めた空気が部屋を支配する。


フィーア・フォン・フォーゲルザンクだと?!

エルンストも驚いた顔をしてフィーアを凝視した。


この百戦錬磨のシュバルツリーリエ団長閣下が、ここまで驚いた姿を見るのは初めてかも知れない。
ファーレンハイト自身も驚きを隠せなかったが、そんな目でエルンストを見ていた。


武人とは違い、もっとも素直に驚きを見せたのはコンラートだった。

「ええっ?!」と声をあげると、ふらふらとよろめき近くにあった飾り棚に手をついて、転倒を免れたほどだ。




フォーゲルザンク.....。我が国カールリンゲンと国境を接する友好国。

間違いなく王族ではないか。

エルンストは心拍数が上昇するのを感じていた。