────二人が屋敷へと戻ると、心配そうなコンラートにヘレナ、そしてルイーズが出迎えてくれた。


フィーアは初めてこの屋敷に連れてこられた時のように、エルンストに抱きかかえられていた。

ただ恥ずかしいのか、顔を隠している。

二人の体からは雫がポタポタと音を立てて落ちている。


「雨で体が冷え切っている。すぐに風呂の用意を」



「はい、ですがご主人様......」フィーアを抱いたままのエルンストに、ヘレナがためらいがちに問いかける。


「その......」



「お前の言いたいことは分かるぞ、ヘレナ。俺とフィーアはもう他人ではない」

そして、「俺たちを引き離すことは出来ん」そう言って湯殿へと向かった。


「「ご主人様......」」コンラートとヘレナは愕然としていたが、ルイーズだけは涙を流していた。


「良かったねフィーア」そうつぶやきながら。