たとえこの身が焼かれてもお前を愛す

「────ご主人様っ?!」


執事長のコンラートが玄関で慌てて迎える。

フィーアの帰るところはここしかないはず。


「今日はお戻りの予定ではなかったのでは?」

「帰ってきて悪いのか?!」

「いえ決してそのような」

「フィーアはいるかっ?」

「フィーアでございますか?」コンラートは怪訝そうな顔をした。

「いえまだ。離宮で静養中ではないのですか?」

逆にたずねられてしまった。



エルンストはクルリと背を向けると、再び雨の中を馬で走りだす。


「ご主人様ーっ!!」コンラートの叫び声が聞こえたが手綱を緩めることはない。


フィーアっ、いったいどこへ行ってしまったんだっ!!

フィーアっ!!!


夏だというのに、雨のせいで気温が下がって手綱を握る指がかじかんでくる。

雨粒が視界をふさぎ、風が思うような前進を妨げる。

おまけに道がぬかるんで思うように走れない。エルンストは苛立ちを感じる。


どこだっ?!あいつの行きそうな場所はっ?!

どこへ帰ると言うのだっ!

あいつの帰る場所は俺の胸だというのにっ!!


エルンストは馬を急がせた。