たとえこの身が焼かれてもお前を愛す

自分で持ってきたお茶を飲みながら、ルイーズはヘレナの隣に座ると思っていたことを口にした。


「ご主人様はフィーアをここに置いて下さるかしら?」

「どうかしら?そうだといいのだけれど」

ヘレナはため息まじりにフィーアを見つめる。



ヘレナの心には一抹の不安があった。
さっきエルンストが『部屋に連れてこい』と言ったことだ。
このままエルンストの慰み者になって捨てられることにならなければ....。
ヘレナから見ても、フィーアはエルンストの好みだった。
いや、この美貌であれば帝国中の男を虜にしてしまうだろう。

だが、エルンストは一夜を共にした女にはその後は何故か冷徹な態度をとる。気に入って屋敷に住まわせることなど一度もない。

熱い夜を過ごしたはずが、朝には憎悪に変わってしまうのだ。

この娘もそうならなければいいのだけれど。

侍女であれば屋敷に置いてもらえる。

娘を抱かないで欲しい。そう祈るヘレナだった。