たとえこの身が焼かれてもお前を愛す

「フィーア、良くやってくれた」エルンストがフィーアの肩に手を置く。

その顔には安堵の表情が。


「はい。でも無我夢中で何が何だか」フィーアはドキドキが修まらない胸に両手をあてた。



と、そこへ「フィーア、大丈夫なの?」

ファーレンハイトに伴われてゾフィーが広間に入って来た。


「わたくしは平気です。皇妃様にお代わりはありませんか?」



「ええ、あなたのお陰よ。ありがとう」


ゾフィーはフィーアに頭を下げた。


回りでざわめきが起こった。


皇妃が臣下や使用人に頭を下げることなどあり得なかったからだ。


「もったいないことでございます」


手を胸にあててフィーアはゾフィーにひざまずく。高貴な方が自分に謝意を表してくれた。

その瞳には人知れず涙が光っていた。