たとえこの身が焼かれてもお前を愛す

「買い物でいらしたんですか?」


「ゾフィー様の所へ行った帰りです。ついでに夕食の食材を頼まれて」


「私は離宮に入れないので」と前置きして「ゾフィー様はお元気でしたか?」

と聞かれ、フィーアは離宮での生活を答えられる範囲で教えた。


「エルンスト閣下も宮廷闘争でお忙しいですし、中々お屋敷にお帰りにならないので、お寂しいのでは?」


えっ?!フィーアのグレーの瞳は一瞬見開かれた。

この方はどこまで私たちのことを知っているのだろう?

エルンスト様が軽々に私たちのことを話すとも思えない。


フィーアは無難な答えを返すことにした。


「皆さんお忙しくて大変ですね」


「私も何日屋敷に帰っていないか分からなくなりましたよ」


ファーレンハイトは笑いながら肩をすくめた。


「まぁ、エルンスト閣下のように屋敷に帰る楽しみがありませんから、帰らなくても平気ですが」


ファーレンハイトの視線を感じてフィーアは肩をすぼめた。