たとえこの身が焼かれてもお前を愛す

「さあ、こっちよ」

侍女のルイーズの声が聞こえた。

どうやら風呂から上がったようだ。

テーブルに肘をついてエルンストは、興味なさ気に声のするほうを眺めていた。



「ご主人様、お待たせいたしました」

奴隷の娘を伴って食堂に入ると、ルイーズが頭を下げる。


そんなルイーズの声はエルンストに届いていなかった。



「.....これは」


目の前に現れた奴隷の娘の美しさに言葉を失っていた。


白く輝く肌、美しく伸びたブロンドの髪。
唇はまるでライチを思わせるつややかさ。
目を合わせた相手を一瞬で魅了してしまう濡れた大きなグレーの瞳。


「お前は本当にあの奴隷か?」


「はい。ご主人様」

取りあえずあてがわれた黒のメイド服を着た娘はうやうやしく頭を下げる。


「名は何んと申す?」


「フィーアと申します」

緊張しているのか、性格なのか。それとも空腹のせいで声が出ないのか。
フィーアと名乗った娘は弱々しい声で答える。