たとえこの身が焼かれてもお前を愛す

*****

「────しかしとんでもない奴でしたね」


尋問を終えたファーレンハイトはお茶を飲みながら、愚痴ばかりこぼしていた。


「真面目な男の成れの果てですよ、まったく」


「お前の言いぐさだと、真面目な人間全てを否定しているぞ?
せめて生真面目な男だからこその結果と言ってやれ。
加えて選んだ女が悪かったのだ」


ファーレンハイトは疲れたようにソファーの背もたれにドカっと体を沈めた。


「それはそれとして....。物資の横流しをしていたとなると、ベッヘムはグレーテ妃だけでなくゲルフェルト侯からも命が狙われておりますな」


「ああ」エルンストはティーカップを口に運び、言葉を続けた。


「だが営倉にいれば安全だ。さすがのゲルフェルトも手を出せまい」


「ここの営倉は大陸一安全ですからね。なんと言っても警備しているのはシュバルツリーリエの精鋭ですからね」


「それもそうだな」


「しかし、ベッヘムも運のない男ですな」


「逆にグレーテ妃は悪運が強いと言うべきかな?妊娠をうまく利用した。食えない娘だ」


「まったく」


「お前も気をつけろよ」エルンストが冗談めかす。

「閣下は私の眼識をご存知ないようですな」

「まさかとは思うが、お前グレーテとも関係が?」

ファーレンハイトは不敵な笑みを浮かべる。

「さあ、どうでしょう?閣下のご想像にお任せしますよ」


二人の笑い声が室内を満たし、しばしの談笑を楽しんでいた時だった。