たとえこの身が焼かれてもお前を愛す

とは言え、皇帝が側室を迎えることに何ら問題はないし、むしろ当然と言っていい。

あちこちに種をばらまいて、子孫を増やすことも皇帝の仕事だからだ。

それに輪をかけて、皇帝ゲオルグは女好きで有名だ。

皇妃と側室....どちらの子が先か?これは多少の問題をはらむが仕方のないこと。

伯父上とてそんなことは百も承知のはずだと思うが?


「わしは側室を迎えることを問題にしているのではない。もし側室の子が帝位を継いだとしても文句は言わん。私利私欲で帝国の命運を狂わすような事をするつもりはない」


「では一体?」


「陛下がゾフィーの子をご自分の子ではないと言い出したのだ」


エルンストは一瞬言葉を失った。


ゾフィーが姦通しているだと?


そんなことあるはずがない。いや天地神明に掛けてそんな事はないと断言してもいい。




馬鹿げているにも程がある。


陛下は本気でそんな事を思っているのだろうか?


やはりこれには政治的な裏がありそうだ。側室の産んだ子を皇帝にしようと暗躍する薄汚い影が。


すぐに調べなければならないな。

エルンストはすでに思案を巡らせていた。