「実は相談があるのだ、エルンスト」

挨拶もそこそこにユンゲルスは椅子を勧めてきた。

猫足のテーブルを囲むように四つの椅子が置かれている。

その一つにエルンストが座ると、ユンゲルスはその正面に落ち着く。


ゾフィーは窓際に置かれた長椅子に座わり不安そうにこちらを見ている。


「実は.....」

ユンゲルスは言葉を選ぶようにゆっくりと話始めた。

「実はゾフィーは皇帝の子を宿しておる」


「!!。それはおめでとうございます。そのような吉報を公式に発布される前に伺えるなど身に余る光栄」


帝国の跡継ぎの誕生だ。

これは良い知らせではないか。

それなのに、ゾフィーも伯父上も浮かない顔をしているのは何故だ?

エルンストは首をかしげざるを得ない。