エルンストはいつものようにコンラートとフィーアに見送られ城へと向かう。

皇妃ゾフィーから直々の呼び出しは初めてだった。

何か特別な要件だろうか?


途中執務室に顔を出し、今日一日の指示を出した足で、ゾフィーの待つ皇妃の間に足を運ぶ。


皇妃の間は居城の最上階にある。

プライベートで使われることが多く、滅多に臣下がここを訪れることは無かった。


向かう途中の廊下でエルンストはゾフィー付きの女官と出くわした。


「ああ、エルンスト様」少し慌てた様子だ。


「ゾフィー様がそれはそれはお待ちでございます」


「約束の時間には少し早いと思うが?」


「ええ、でも朝から待ちきれないご様子で」


一体何があったのだ?

エルンストは足を速めた。