たとえこの身が焼かれてもお前を愛す

────エルンストが風呂から上がるのを見計らって、コンラートが声をかけてきた。


「ご主人様。あの女奴隷のことでございますが」


「うん?」


タオルで頭を拭きながらエルンストは侍女に飲み物を運ぶように命じる。


「とりあえず、馬屋で寝泊まりさせようかと」


「馬屋?それでは俺が奴隷商人からあの娘を買い受けた意味がないではないか。もう少し人間らしい生活をさせてやれ」


「そうはおっしゃいますが、わがベーゼンドルフ家の屋敷に奴隷を入れたとなりますと、それなりに問題もありましょう」


「どんな問題だ?それに馬屋などに住まわせたら、すぐにあの娘は馬番に犯されてしまうぞ」
それはそれで人道的に不快なエルンストだ。


「しょせん奴隷とはそのような身分だと存じますが?」


「もういい。娘はどこにいる?」

エルンストの問いかけに、コンラートは口ごもりながら、「外です」とつぶやいた。