たとえこの身が焼かれてもお前を愛す

青年将校の名を、エルンスト・フォン・ベーゼンドルフと言う。

この屋敷の主であり、カールリンゲン国皇帝付騎士団の団長を務めている。

年のころは24歳。

世の女性を放ってはおかない美しい顔立ち。やいばのような切れ長の目が特徴的な青年だった。


「ご主人様、まさかその汚物を屋敷の中に.....」

コンラートは狼狽した様子だ。


「もしこれが汚物なら、汚物を抱く俺の身にもなれ。後はお前に任せるぞ」


エルンストは女を玄関に置かれた、いかにも高そうな金糸が光るゴブラン織りの長椅子に横たえた。


「ギャーっ!!」


断末魔の叫びをあげたコンラートをしり目にエルンストは「風呂に入るぞ」と、控えていた侍女に声をかけると、さっさと姿を消してしまった。


「こ、これをわたくしにどうせよと....」


途方に暮れるコンラートが独り立ち尽くしていた。