たとえこの身が焼かれてもお前を愛す

そこは質素で殺風景な部屋だった。


窓は一つでその前に置かれた机で、エルンストは書類にサインをしているところだった。


目の前に現れたフィーアにまったく表情を変えず、「どうした?」一言発しただけだった。


「コンラートさんに頼まれました」

封筒を差し出す。


エルンストは黙ってそれを受け取ると、何も言わずにまた書類に視線を落とした。

無言で「帰れ」と言っているのだ。


確かにいつもこんな感じだが、あまりの素っ気なさにフィーアは驚きと悲しさがこみ上げてきた。
この前、エルンストとの距離が縮まった気がしていたし、だからと言って何を期待していたわけではないけれど、せめて言葉をかけるくらい....。
奴隷の私はそんなことも望んではいけないの?

ズキンと胸をえぐる痛み。

所在ないとばかりに立ち尽くすフィーアを見て、将校の青年はエルンストに声をかけた。


「閣下、お礼くらい言ったらどうですか?」

フィーアの隣まで来ると、「ひどいですよね」小声でささやく。

「せっかく美しいお嬢さんが届けてくれたんですよ」


それをエルンストは無視した。


「ご主人様はお忙しいのですもの。気になさらないで下さい」笑顔を向ける。

彼は呆れた顔をしながら、「閣下はどうも女性に愛想がなくてすみません。決してあなただけでは無いのですよ」優しく微笑んでくれた。

「どうですフロイライン。これから私と昼食をご一緒しませんか?」

心なしかエルンストのペンを持つ手がわなわなと震えて見える。