たとえこの身が焼かれてもお前を愛す

「しかし、団長のところにこんな美しい方がいたとは知りませんでした」

優しい人のようだけど、この人は油断ならない。ボロを出さないように受け答えに気をつけないと。フィーアは封筒を持つ手に力を込めた。


「私がお邪魔したのは半年前ですが、その時あなたはいらっしゃいましたか?」


「いいえ。あの、わたくしは最近奉公いたしまして....」


「ああ、やはり。こんな美しい人を見逃すはずがありませんから」


顔色ひとつ変えずに気恥ずかしいことを言えるなんて、どれだけこの人は女性の扱いに慣れているのかしら?
思わずにはいられなかった。


「近いうちに、またお屋敷にお邪魔したいものです。しかしエルンスト閣下もお人が悪い。こんな綺麗な人を屋敷に置いているなど、一言も話してくれないのだから」


「は....はぁ」


フィーアは若い男性と話すことにあまり慣れていないせいで、この時間がとても窮屈に感じられた。


「最近、団長が早く帰られる理由がこれで分かりましたよ。フロイラインあなたのせいですね」

あらためて笑いかけられて、フィーアは不覚にもドキマギしてしまった。


こんな時に、気の利いたことを返せればいいのだけれど....私には無理だわ。

いつもわたしのそばには恐ーい教育係のアルベルタが目を光らせて、近寄る殿方をけん制していたから。