「で、次は何やったのよ?」
香が急かす。
「物事を語るには順番ってものがあるんだ」
「でもほんま、はよ聞きたいわー。こんなんびっくりやでー」
来店を断ろうと思ったが
「犬は家族なんです。あなたは私の家族を差別するんですか?」
と言ってミニチュアダックスを連れてジッポに入って来たおばはんがいた。
深夜3時に犬以外にも幼稚園児を連れてきた。どうかしている。
だが響的には、ある種面白い部類だったので放置していた。
子供がカウンターに置かれたお菓子を口にしようとする。おばはんは子供の手をはたき
「あんた!何時だと思ってんの!」
と言った。
「お前じゃ!!」
そう思ったが、それは言わずおばはんを酔っぱらわせて住所をメモ帳に書かせた。シングルマザーらしく、店に来て暫くすると響に甘えてきた。子供の前で。
自分とヤりたいのだろう。そう感じたが響のタイプではない。
「お名前を伺ってもいいですか?」
そう聞くと
「サコチンコ!」
と返してくる。なんだこいつ。ヤバいな。
犬がじゃれて来た。響は動物は嫌いではないので素直に可愛いなと思う。写メを撮る。頭を撫でてあげようとした瞬間、犬は響を噛んだ。
血が滴る。
そこで犬をしかりつけるかと思いきや「サコチンコ」の言葉はこうだった。
「あんたなんかこの子が嫌がるようなことしたんでしょ?あー、犬に血が着いちゃうから触らないで」
瞬間的に殺意が沸いた。が、そこは思い止まり、次のターゲットにすることにした。こいつは悪人だ。懲らしめられて当然だ。
嵐のようにやって来て、訳の分からないことばかり喋り、嵐のように去って行った。置き土産は犬の糞。店の中でしていたのだ。犬に罪はないがそれを育てた親に責任がある。
その3日後、響は帽子屋につばの大きい帽子を新しく買いに行った。今度はワインレッドにした。それを被り錦糸町の漫画喫茶に行く。一度行った漫画喫茶には2度と行かない。
今回はSNSの裏垢に
「今日新宿で犬を持ち去ります」
と書いた。
そして響はペットショップに向かった。写メと全く同じ毛並み、柄、サイズの犬を見つけた。
メモ帳に書かれた住所に行くと、ちょうど犬が外に出ていた。周りに人はいない。
そこで、響は犬を
…すり替えた。
あれからどうなっただろうか?飼い主は気づいたのか?それとも性格が変わってしまった犬を引き続き愛で続けたのか?わからない。まあ犬は飼いたがっていた友人に預けたし、何の問題もないだろう。犬にしても新しい主人の方を気に入るに違いない。
「すり替えたて!よーそんなこと思いつくなー。確かに気付かんかったら飼い主も傷つかへんもんなー」
「そーだね。子供の方もすり替えてやったらよかったのに。人間はさすがに無理か」
「まーね。でも命のすり替えは少し後味が悪かったな」
香が急かす。
「物事を語るには順番ってものがあるんだ」
「でもほんま、はよ聞きたいわー。こんなんびっくりやでー」
来店を断ろうと思ったが
「犬は家族なんです。あなたは私の家族を差別するんですか?」
と言ってミニチュアダックスを連れてジッポに入って来たおばはんがいた。
深夜3時に犬以外にも幼稚園児を連れてきた。どうかしている。
だが響的には、ある種面白い部類だったので放置していた。
子供がカウンターに置かれたお菓子を口にしようとする。おばはんは子供の手をはたき
「あんた!何時だと思ってんの!」
と言った。
「お前じゃ!!」
そう思ったが、それは言わずおばはんを酔っぱらわせて住所をメモ帳に書かせた。シングルマザーらしく、店に来て暫くすると響に甘えてきた。子供の前で。
自分とヤりたいのだろう。そう感じたが響のタイプではない。
「お名前を伺ってもいいですか?」
そう聞くと
「サコチンコ!」
と返してくる。なんだこいつ。ヤバいな。
犬がじゃれて来た。響は動物は嫌いではないので素直に可愛いなと思う。写メを撮る。頭を撫でてあげようとした瞬間、犬は響を噛んだ。
血が滴る。
そこで犬をしかりつけるかと思いきや「サコチンコ」の言葉はこうだった。
「あんたなんかこの子が嫌がるようなことしたんでしょ?あー、犬に血が着いちゃうから触らないで」
瞬間的に殺意が沸いた。が、そこは思い止まり、次のターゲットにすることにした。こいつは悪人だ。懲らしめられて当然だ。
嵐のようにやって来て、訳の分からないことばかり喋り、嵐のように去って行った。置き土産は犬の糞。店の中でしていたのだ。犬に罪はないがそれを育てた親に責任がある。
その3日後、響は帽子屋につばの大きい帽子を新しく買いに行った。今度はワインレッドにした。それを被り錦糸町の漫画喫茶に行く。一度行った漫画喫茶には2度と行かない。
今回はSNSの裏垢に
「今日新宿で犬を持ち去ります」
と書いた。
そして響はペットショップに向かった。写メと全く同じ毛並み、柄、サイズの犬を見つけた。
メモ帳に書かれた住所に行くと、ちょうど犬が外に出ていた。周りに人はいない。
そこで、響は犬を
…すり替えた。
あれからどうなっただろうか?飼い主は気づいたのか?それとも性格が変わってしまった犬を引き続き愛で続けたのか?わからない。まあ犬は飼いたがっていた友人に預けたし、何の問題もないだろう。犬にしても新しい主人の方を気に入るに違いない。
「すり替えたて!よーそんなこと思いつくなー。確かに気付かんかったら飼い主も傷つかへんもんなー」
「そーだね。子供の方もすり替えてやったらよかったのに。人間はさすがに無理か」
「まーね。でも命のすり替えは少し後味が悪かったな」