『おいっ!潤!!愛華から離れろこの天然たらし!!愛華に手出したら殺すかんな!!』
『新は本当うるさいよね。存在自体うるさいんだから、喋るのくらいもっと静かに出来ない?』
『うるせぇ!いいから離れろってんだ!愛華!こいつ葛原潤(くずはらじゅん)!一応俺の親友だから安心していいぞ!」
安心しろってお兄ちゃん。
離れろって言ったり、安心しろって言ったり、さっきから言ってる事ちぐはぐだよ?
それに、何で男の人なんか連れてきたの?
私を呼び出したりしたの?
もしも……もしも触れられたりしたら、私がどうなるか分かってるはずなのに……。
『わ、私、部屋に戻るから!お兄ちゃん!遊びに行くのはいいけど、運転気を付けてよ!!』
『おう!財布ありがとな愛華!戸締りだけはシッカリしろよっ!』
急いで部屋に戻ろうと踵を返したその時…––––。
––––ポン。
『……っ!?』
頭に温かい温もりが乗って、私は動きを止めた。
ゆっくりと振り返り見上げれば、そこには、優しく目を細め柔らかな笑顔で私を見る、彼の姿。
『おやすみ』
そう言って、私の頭を撫でる彼の手は、驚くほど優しかった。
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