漆黒が隠す涙の雫


だけど、バカ新。


目の前の闇に囚われて、お前自身が愛華を傷付けてどうする。


愛華のあの澄んだ瞳を守ってきたのは、お前だろうが。


そんなお前が、愛華の瞳を曇らせてどうする。



お前がそんななら、俺は手段は選ばないよ。


愛華を悲しませるバカなお前の目を、覚まさせてやる。


俺が愛華を守ってみせる。




だけど…。



愛華が俺の前に現れるなんて予想外だった。


陰ながら、あの子を守るには問題ない。


だけど、手の届く距離であの子を守るには、どうしたってあの子を傷つけた“暴走族”という肩書きが邪魔をする。


愛華にとっては、俺も愛華を傷つけた菅野武も、同じ暴走族に変わりないんだ。


人質という形で愛華を手元に置くのが一番だと思った。


人質ならいざって時にすぐ解放できる。


仲間にしてしまえばそうはいかない。



それに、愛華が人質なんてことになれば、バカな新の目を覚ますには、十分なインパクトになると思ったんだ…。



だけど、予想以上に愛華の傷は深かった。


俺が暴走族ってだけで、愛華は俺を信じ切れないんだ。


…バカだな俺。


俺なら、愛華に無条件で受け入れてもらえると…そう思ってた。


愛華に触れられる“男”は、新を抜けば俺だけだから。


俺は少し、過信していたのかもしれない。


「かっこ悪……」