漆黒が隠す涙の雫

それからというもの、新が話す日常の愛華の話も案外聞いてて面白くて、いつの間にか俺は愛華の事を“愛しい”と思うようになっていた。


恋とか愛とか、正直そんなのよく分からない。


そんなのに分類出来るほど明確なものじゃない。


だけど、全身全霊で守ってやりたいと思うくらい–––––大切な子。



『あ。やべ!財布家に置いてきた!』


『は?新って本当に忘れ物多いよね。頭悪いから?』


『うるせーよ!お前はいっつも人をバカにしやがって!』


『だってバカじゃん』


『バカだけども!』


いつも通り、その日も一人で家に取りに帰るんだとばかり思ってた。


『潤、今日はお前もついてこいよ』


『何言ってんの。やだよ面倒くさい。それにこの時間は妹いるんでしょ?男の俺が一緒にいたら怖がるだろ』


『まぁ。そうなんだけど。俺、何となく愛華はお前のことは平気な気がするんだよね』


『何その自信?』と聞く俺に、新はニカッと笑って『勘!』となんとも頼りない応えを返してくるもんだから溜息が漏れた。


だけど、一度でいいから愛華に会ってみたい。


そんな風に思ったことはこれまでだって何度もあって…。