お兄ちゃんの忘れたお財布を握りしめて家を出た私の前には、そんな光景が広がっていた。
お財布を忘れたのは予定外の事だったとはいえ、お兄ちゃんが私の前に誰かを連れてくるなんて初めてだった。
凄く戸惑ったのを覚えてる。
しかも、“男の人”を連れてくるだなんて…–––。
『愛華、わざわざ財布ありがとな!もう寝てたか?」
『う…ううん。大丈夫。お兄ちゃん…えっと…』
お兄ちゃんのバイクの後ろにつけるように止められた、もう一台のバイク。
恐る恐るそちらを見れば、その男と目が合ってしまってドキリとする。
ひぃっ!!
その男は、私を見るなり跨っていたバイクから降り、私の方へと一歩一歩近付いてくる。
回れ右をして、すぐにでも家へと逃げ込みたい気持ちはやまやまなのに、彼の尋常ではないくらい綺麗な容姿に私の目は釘付けになったまま逸らせない。
私の前まで来た彼は、私の顔を覗き込んで真っ直ぐな瞳で見つめてくる。
吸い込まれそうなほど澄んだ茶色い瞳。
き、距離が近いんですけど……。
『あんたが新(あらた)の妹?
へぇ。思ったより似てないね』
『……そう…ですか?』
無表情なのに、私を見るどこか優しいその表情になんだか居心地が悪い。
お財布を忘れたのは予定外の事だったとはいえ、お兄ちゃんが私の前に誰かを連れてくるなんて初めてだった。
凄く戸惑ったのを覚えてる。
しかも、“男の人”を連れてくるだなんて…–––。
『愛華、わざわざ財布ありがとな!もう寝てたか?」
『う…ううん。大丈夫。お兄ちゃん…えっと…』
お兄ちゃんのバイクの後ろにつけるように止められた、もう一台のバイク。
恐る恐るそちらを見れば、その男と目が合ってしまってドキリとする。
ひぃっ!!
その男は、私を見るなり跨っていたバイクから降り、私の方へと一歩一歩近付いてくる。
回れ右をして、すぐにでも家へと逃げ込みたい気持ちはやまやまなのに、彼の尋常ではないくらい綺麗な容姿に私の目は釘付けになったまま逸らせない。
私の前まで来た彼は、私の顔を覗き込んで真っ直ぐな瞳で見つめてくる。
吸い込まれそうなほど澄んだ茶色い瞳。
き、距離が近いんですけど……。
『あんたが新(あらた)の妹?
へぇ。思ったより似てないね』
『……そう…ですか?』
無表情なのに、私を見るどこか優しいその表情になんだか居心地が悪い。



