漆黒が隠す涙の雫

*潤side*

暗闇の中、聴こえてくるのは水の流れる音だけ。


風が少し湿り気を帯びているのは、雨の季節がすぐそこまでやって来ているせいだろう。


大きな溜息を一つついてゆっくりと瞼を開ける。


目の前に広がるのは、満天の星空だ。



この辺りは、元々工場地帯だったらしい。


今ではほとんどの工場が別の場所へと移転して、ここは廃墟ばかりの無法地帯となっていた。


こんな場所を人が理由もなしに訪れるわけもなく、灯りも少ないからか、ここは静かで星がよく見える。


そんなこの場所を俺は案外気に入っている。


川原の土手に寝転んで、こうやって夜空を眺めてると、頭の中のめんどくさい事とかがどうでもよくなるんだ。


だけど、今回ばかりはそう簡単にはいかなそうだ。


まさか、こんなことになるなんて…俺だって予想してなかった。


そう。そもそも、愛華が俺の前に現れた時点で想定外だったんだ。





愛華のことは、昔から新に散々聞かされてた。


ずっと愛華だけしか身寄りのなかった新は、愛華を溺愛してて、それはもう見ててイタいくらいのシスコンぶり。