そして、私はこの後、この金髪男の放つ言葉に自分の耳を疑う事になる。
「……参ったね。まさか“新【あらた】”がここまでやるなんて……」
……………え?
今、何て……?
“新”
…お兄ちゃんの名前だ。
「……っ、あのっ!!」
茂みをかき分け、咄嗟に彼らの元へと飛び出していく私。
そんな私に驚いた様子の男は、みるみるうちに警戒した表情に変わり、「…君、誰?」と私を睨んできた。
う"…っ。
怖い……。
でも、怯んじゃだめだ。
お兄ちゃんに繋がる、唯一の手がかりかもしれないんだもの……。
何があったとしても、これを逃すわけにはいかないの。
「し…進藤新を知っていますか!?」
私達の間に風が吹く。
雨が降る前のようなひんやりとした風だ。
「……君は新の…何?」
確信した。
この人は、お兄ちゃんを知っている。
「お兄ちゃんが、今どこにいるか知りませんか!?」
「お兄ちゃん…?まさか君……」
––––––「昴(すばる)」
すると、彼らの後ろでバイクに跨ったまま私達のやり取りを見ていた男が、金髪の男の言葉を遮った。



