開いたドアの先には、メンバーと勘違いしたのか私達にそう問いかけてくる、ずっと探し求めていた人の姿。
黒髪の短髪に、筋肉質な体格のいい体。
奥二重の奥の優しいし瞳は、紛れもなく私の大切な人……。
「お兄ちゃん!!」
気付いた時には、そう叫んでいた。
「……愛……華?」
困惑した様子のお兄ちゃんは、まるで幽霊でも見たかのような表情だ。
そんなお兄ちゃんに、私は一歩一歩歩み寄る。
そんな私を受け止めようと、手を広げるお兄ちゃん。
感動の再会。
……といきたいところだけど。
––––––バキィ!!
「ぶぉっふっ…!!」
「お兄ちゃんのバカッ!!!」
「あ…愛華…ちゃん?」
私の渾身の右ストレートを食らって、地面に尻もちをついたお兄ちゃんが左の頬を押さえながら涙目で私を見上げる。
「何考えてんの!?何にも言わずいなくなるとか、バカじゃないの!?お兄ちゃんがバカなのは知ってたけど、こんなにバカだとは思わなかった!!」
「愛華…バカバカ言い過ぎじゃない…かな?」
「バカだよっ!!」
「…愛華?」
「……お兄ちゃんがいなくなったら私、ひとりぼっちになっちゃうんだからね」



