それすらも越える何かがお兄ちゃんをそうさせたのなら、一体それは…何?
やだな……。
確信に近い嫌な予感が、私の中で渦巻いてる。
だけど、頭の中でいくら考えたって仕方ない。
どんなに傷付く事になろうと、お兄ちゃんの口から聞くしか確かな答えは出ないんだから。
傷付く心の準備とは、
“ひとりぼっちになる心の準備”という事なのかな……。
答えに戸惑う私の頭に、潤くんがポンと手を乗せる。
「覚悟できてなくてもいいから、ひとつだけ約束して」
「…え?」
「傷付く時は、ちゃんと俺の前で傷付いて」
「……」
真っ直ぐな瞳を私に向ける潤くん。
それは…どういう意味?
まるで、“ひとりぼっちになんかしない”って言われてるみたいに聞こえるけど、それはあまりにも自分に都合良く考えすぎかな?
「返事は?」
「は、はいっ!」
「じゃあ、行くよ」
潤くんは私の手を取ると、ドアノブに手を掛けそれを開けた––––。
「おい。一体下は何の騒ぎだよ?」



